きまたまジャーナル

オーロラの海に浮かぶ氷山と、アーモンドの花冠

14番目の月と、沈丁花

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空の低い位置に、白くて丸い月が出ている。でもまんまるではないな、14番目の月っていうユーミンの歌があったなぁ、などと考えながら歩く。病院からの帰り道。

 

月は自分から光を放っている(反射している)はずなのに、ロイヤルコペンハーゲンみたいにマットな質感なのが不思議。

 

昨日の熱は、今朝にはもう下がっていた。まだ咳が出るので念のため検査をしたけれど、やはりコロナ陰性。薬局で病院受診と検査の経緯を聞かれたので、かいつまんで話す。

 

「この程度で受診してよかったんですかね。コロナって、やっぱり普通の風邪とは明らかに違う感じなんですよね?」

 

薬剤師さんによれば、コロナを疑う目安は発熱の有無で、あとは人により症状の個人差がかなりあるとのこと。なるほど、先生の判断は正しかったわけだ。

 

では、かかりにくい人とか、かかりやすい人とかはあるのか聞くと、ワクチンを打った人はかかっても軽くすむ傾向があり、免疫力の高い人はかかりにくいと教えてくれた。

 

「うちは家族全員、次々とコロナにかかったし、夫なんて2回もかかったのに、ワクチン打たずに隣に寝てた私はうつらなかったんですよね」

 

と話すと、薬剤師さんがおかしそうに笑った。

 

「いつも飲んでる漢方が、よく効いてるんじゃないですかね。それか、よほど免疫力が高いか」

 

「いや私、虚弱体質のつもりで漢方飲んでるんですけどね。もしかしてすごい丈夫だったりして。ああセルフイメージが…」

 

こちらも笑いつつ会計を済ませて、自宅へ向かう。夕闇のなかに、ときどき、ふんわり甘い空気がよぎる。沈丁花だ。娘が使っているSHIROの香水より、いい香りかもしれない。

 

コートを脱いで手にかける。歩くのは楽しい。冴えなかったこの2.3日が、沈丁花と月で払拭された気分。暖かくなってきたなぁ。