流行りの無人島へフェリーで出かけたものの、パリピでごった返していてクタクタに。いくらなんでも流行りすぎている。無人島のアイデンティティが問われる。
「冬なのに、みなさん何しに来るんですか。ここまで並ぶとは思ってなかった」「いやぁ、島に来たことが重要なんじゃないですか。ちなみにこれ、僕らからすると混んでないです。ゴールデンウィークなんて、ものすごいですよ」
島内ツアーガイドの呼び込みの声に重なるように、訪問客と船員の会話が聞こえてくる。人波に疲れたので早々に切り上げ、いつもの浜辺で口直しのビーチコーミングにトライ。もっと静かに過ごしたい。
手のひらサイズのヒトデと、パール感のある貝と、シーグラス収穫。午後3時、だいぶ陽は傾いて、影が伸びている。
ここは曲線が多くて、波もおだやかで、とても女性的な浜辺だと思う。防波堤のテトラポットがネックレスのように連なり、空と海とを分けている。
群青の水面や白いレースのような波打ち際に、薄桃色の雲がリフレクション。美しい。
潮風と潮騒の中で過ごしていると、取るに足りない人生の悩みの半分は、洗い流されていく気がする。
無心にお散歩することで自分を取り戻す面があるから、あんまり作り込まれていない、等身大の海の方が好きだ。よそゆきの海も刺激的だけど、日常を感じる海の方が心地よい。