きまたまジャーナル

オーロラの海に浮かぶ氷山と、アーモンドの花冠

Maison Margielaの「コーヒーブレイク」

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香りはあまり変えない方なのだけど、次の香水を何にしようか、少し迷っている。そしたら、Maison Margielaの「コーヒーブレイク」を友人が紹介してくれた。SNSでバズっていたらしい。

 

私は香水を買うとき、アットコスメなどの口コミサイトを参考にすることが多い。レビューだけ読み、香水なのに嗅がずに想像で選ぶ。見た目のデザインで購入を決めてしまう「パケ買い」というのがあるけれど、あれに少し近いかも。

 

でも、このコーヒーブレイクだけは、読んでも読んでもさっぱりイメージが掴めない。それで、友人と一緒にアンテナショップへ行ってみることに。

 

芸能人のように顔立ちの整った白衣の男性スタッフが出てきて、ショップ内を案内してくれた。20代半ばくらいだろうか。ここはMaison Margielaのフレグランス専門店なので、他では入荷待ちになっている商品も在庫があるという。

 

「お探しのものはございますか」

と聞かれたので、いちばん右端にあったコーヒーブレイクを指すと、

 

プシュ…

ヒラヒラヒラ…

スッ

 

と、手品師みたいな手つきでムエット(試香紙)を作って渡してくれた。嗅いでみると、なるほど〜、、、という香りがする。甘い。

 

コーヒーそのものの香りはしないが、午後のカフェのざわめきの中にいるような気分になる。季節は秋。お皿の音と、たわいないおしゃべりと、キーボードを打つ音が聴こえてきそう。

 

一緒に行った友人は大喜びで、これいい、あ、これもいい、うわぁこれも、とはしゃいでいる。可愛い。彼女の反応がいいためか、男性スタッフも上機嫌で

 

プシュ…

ヒラヒラヒラ…

スッ

 

を繰り返している。やっぱり手品師っぽい。きれいな指先と華麗な仕草で、ふところから鳩でも出しそうな勢いだ。

 

美味しいものの美味しさを、的確な言葉と表情で表現できる人がいるけれど、友人はそういうタイプ。さっきのランチでも、店員さんのおすすめを注文して褒めちぎり、すっかり親しくなっていた。純真で居心地のよい人。

 

結局、100ミリボトルの値段がかなり高いので、ムエットだけたくさんもらって買わずに店を出たのだが、彼女があんなに嬉しそうにしてくれるなら誕生日に買ってあげようかなと、思わず彼氏目線になった。