きまたまジャーナル

オーロラの海に浮かぶ氷山と、アーモンドの花冠

聴色感覚

色が響く、色が聴こえる。ごくたまにそんな体験をすることがある。

 

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エビデンスはないので真偽のほどはわからないが、実際「大脳の中で視覚と聴覚はとなりあっているから、互いに影響しあう」らしい。まあ、音に色味を感じるからこそ「音色」なわけで、きっと人間の脳は本当にそうなっているのだろう。

 

けれども、私がそういった感覚を楽しめるのは、自分の心に充分な余白があるときだけ。雑多な色と音が洪水のように押し寄せる人混みでは、一方的に攻め込まれているような気分になってしまい、あまり落ち着くことができない。コンサート会場や映画館も同じ。ある時点で何かが臨界点を迎えると、とたんに疲れてしまう。 

 

繊細さん(HSP)ってやつなのだ。

 

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昨日の美術展の阿部千鶴さんの絵からは、ふと、音が聴こえるような気がした。キャンバスには、色とりどりの花々と楽器のモチーフが並列に散りばめられていたから、余計にそんな気持ちになったのかもしれない。

 

メロディはないけれど、重なり合った色が滲みながら染みていき、心に複雑な響きが広がる感じ。明るく澄んだ和音だけでなく、パッシングコードのように翳りを帯びたスパイシーな色も通り過ぎていく。美術館を出た後も、しばらくのあいだ心地よい残響があった。

 

いつか、阿部千鶴さんのアーティストトークに参加する機会があったら、伺ってみたい。もしかすると、あなたも「聴こえるタイプ」ですか? と。なんだか危ない感じの質問だけど。

 

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